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お笑いコンビ「マシンガンズ」として芸能活動を続けながら清掃員として働く滝沢秀一さんに仕事をする中で感じたゴミ問題の深刻さ、日本がゴミで埋まる前に私たちは何を変えていかなければならないのか伺いました。
滝沢 秀一
1976年生まれ、東京都出身。1998年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2012年からはごみ清掃員としても勤務。「このゴミは収集できません」(白夜書房)、「ゴミ清掃員の日常」(講談社)、「リアルでゆかいなゴミ辞典」(大和書房)、「ゴミ育」(太田出版)ほか著書多数。2020年ごみの専門家として環境省のサステナビリティ広報大使に。イベントやSNS、オンラインコミュニティなどで、ゴミ問題や分別に関する知識などを日々発信している。新刊『このゴミは収集できません』(角川文庫)が発売中。
清掃員になってわかったゴミの多さ
清掃員は、朝8:00からゴミ清掃車に乗ってゴミの回収を始め、決められたルートで集積所を周って、清掃車がいっぱいになったら清掃工場に持って行きます。
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清掃車って最大で2トンまで入るんですよ。これを満杯にしたらなんとなく1日の仕事終わりかなと思っていたんですけど、ルート全体のゴミを集め終わるまで、回収し清掃工場に持っていくという作業を繰り返すので、1日大体6回これを満杯にします。夏のペットボトルの多い時期なんて夜の19:00くらいまで回収するときもありますね。
清掃車1台で1日10〜12トンのゴミを回収します。そして、清掃工場に行くと仲間の清掃車が10〜20台いるんですね。ということは僕が集めたゴミの10〜20倍のゴミが1日で集められている。その量に驚きましたね。街一つからこんなにゴミが出るんだって。
あと20年でゴミが捨てられなくなる未来がくる!?
「日本ってゴミで埋まりませんか…?」ってベテラン清掃員に聞いたんです。そしたらあっさり「うん、埋まるよ」って。
ゴミって燃やすと魔法みたいに消えて無くなると思う人もいるかもしれませんが、灰が残ります。この灰をなんとかリサイクルしようと国も頑張っていますが、それでも残ってしまう灰を埋めているのが「最終処分場」。

東京23区の家庭内から出るゴミの最終処分場である「中央防波堤最終処分場」はあと50年でいっぱいになります。環境省のウェブサイトによると日本全体の最終処分場の残りの寿命は平均すると22.4年。あと20年経つと日本ってゴミを捨てられなくなるんです。
僕は清掃員になるまでこの衝撃の事実を知らなかったから、これ、まずみんなに知ってもらった方がいいんじゃないか?と思って、いろいろな情報発信をするようになりました。
同じ強さで、同じことを伝え続ける
僕が清掃員を始めたのは11年前ですが、その頃はペットボトルの分別の意識が今よりもっとひどかった。ペットボトルと一緒にお弁当の空箱、卵パック、シャンプーボトルを入れて捨てたりしている人も多かったです。でもちょっとずつそういうことが減っていって、ラベルもはがしてくれるように変わっていきました。今や、日本のペットボトルの回収率は94%(*)になっていますが、「分別しましょう」って言って、すぐにみんなが理解してやってくれるわけではないんです。ペットボトルひとつきちんと分別されるようになるまでに10年以上かかっている。だから、繰り返し繰り返し、ヒステリックにならず、同じ強さで、同じことを訴えていくことがこの活動において大事なことです。
*出典:PETボトルリサイクル推進協議会│PETボトルリサイクル 年次報告書2022
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この前、僕のTwitterで「ピザの箱はダンボールじゃなくて可燃ゴミです」って書いたツイートが2万以上いいねがついて大きく拡散されたんです。でもね、これ今まで10回くらい言ってるんですよ。同じことをずっと言ってるのに、ある日急に大きな反応があったりする。その度に「初めて知りました」って人ばっかりなんですよね。こっちとしては何回も言ってるから聞き飽きたかなって思うけど、それでも途中でやめずに同じ発信を続けることで、急に話題になったり、知らなかった!という人に届いていくんです。
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ゴミから見えてくる人々の心
清掃員として日々いろんなゴミを回収する中で一口しか食べられてないピザ、お中元でもらったゼリーのセット、箱から出されてない自転車などが捨てられているのを散々見てきました。安く買った物や、無料でもらった物、作った人・あげた人の顔が見えない物はバンバン捨てられている。
あとは、捨てた先に、清掃員がいることをあまり考えないんだろうなと感じるゴミもたくさんあります。袋を持ち上げた瞬間包丁が飛び出してきたこともあったり。COVID-19の感染拡大が始まったばかり時、燃えるゴミの中にビール瓶が一本入っているゴミ袋があって、こういう時は袋を開けて取り出さないといけないんですけど、この中にウィルスが入ってるんじゃないかってすごい恐怖だった。そういうことってちょっと考えたらわかりそうですけど、捨てたからもう関係ないっていう人の心が現れているように思います。
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大掃除で出てきた不要品を捨てずに
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