お笑いコンビ「マシンガンズ」として芸能活動を続けながら清掃員として働く滝沢秀一さんに仕事をする中で感じたゴミ問題の深刻さ、日本がゴミで埋まる前に私たちは何を変えていかなければならないのか伺いました。

物にも人にもリスペクトを

僕は、シュレッダーで裁断した紙を油の処理剤で固めて捨てています。これ、切ると固形燃料として使えるんです。それを非常用にとってあったりします。細かくなった紙は散らばりやすいので、固めて捨てることは清掃員への配慮にもなりますね。

シュレッダーで処理された紙を固めた様子を見せる滝沢さん

これからは、リデュース(Reduce)、ゴミになる物を減らすことにより力を入れていく必要があると思っています。僕が普段着ている服はレンタルのものです。スタイリストさんが選んでくれる服で、結構褒められたりなんかして。これって服っていう物にお金を払っているというより、経験にお金を払っている感覚なんです。そういうサービスがもっと広がっていけばいいなと思います。

これは、物を買うなってことではなくて、きちんと物を買った先にあるものについて想像していこうということです。本当に必要なのか、最後の最後まで使えるかどうかもそうですが、それを購入したことでどこにお金が流れるのか、誰が喜ぶか、誰かが苦しんでないか、搾取や環境破壊などの問題に加担しないか、何かを買うときに意識して知ろうとしないといけない。

3R +リスペクトの気持ちでゴミ問題解決へ繋いでいく

命つきるまで愛せる物を。「ラストロング」の考え方

「ラストロング(Last long)」は訳すと長持ちといった意味になりますが、「愛してる物だったら命なくなるまで使う」というひとつの考え方でもあります。日本語の「もったいない」は、何かを捨てる時にまだ使えるか考えるみたいなニュアンスが強いですが、こっちは買う時に、本当に長く使えるのか考える。なんとなく安いという理由だけで買った物って、結局すぐに捨ててしまうことが多いですよね。なので、ちゃんと愛せるかという視点で物と向き合う。この思想が日本で流行ってほしいと思っています。

「ゴミ」という言葉自体をなくしたい

「ゴミ置場、ゴミ捨て場」という言い方も変えたいです。「エコステーション」とか資源を扱ってるんだっていうのがわかるような名前にね。名前に引っ張られることって結構多くあると思っていて、ゴミ捨て場って言われたら、いらないものをポイッて投げ入れちゃいそうな感じするけど、エコステーションにはちょっと投げ捨てられないですよね。

そもそも「ゴミ」として生まれてきた物ってないじゃないですか。物をゴミと決めるのは人間なんです。これだけゴミ問題が深刻になってるのは、簡単にこれはゴミだと判断できてしまうこと自体も理由の一つ。僕は、将来的には「ゴミ」っていう言葉自体をなくしたいと思っています。すべてが「資源」、また何かに利用できる物がまわりにあふれるようなれば、「ゴミ」という言葉は必要なくなりますね。

捨てる以外の選択肢を

僕は何かを捨てること自体がストレスに感じるところがあって、不要品を「ご自由にどうぞ」と書いて家の前に出しているんですが、物について丁寧に説明を書いたりすると、意外と誰かが持っていってくれたりするんですよ。捨てるよりそっちの方が気持ちがいい。

「不要品寄付」もひとつの選択肢になりますね。捨てられずに物を溜め込んでいた人が「誰かの役に立つなら」って気持ちよく手放せるきっかけになることもあるそうです。例えば、ゴミを捨てられない年配の方のお家がゴミ屋敷になるのを防ぐために「不要品寄付」を紹介するとか、そういったところで「不要品寄付」と「ゴミ問題」を繋げられる可能性もあると思います。

当会の不要品寄付の取り組み「ステナイ生活」担当 ダハルと

「ゴミを減らそう」70年後同じことを繰り返さないために

昔の資料を見ていたら1954年の白黒のパンフレットの中に「ゴミを減らしましょう」って書いてあったんです。約70年前、今と全く同じこと言ってるんですよね。ということは70年前の人たちが何も変わらなかったってことで。今、みんなの意識が変わらなかったら、70年後、僕みたいな人がまた同じように「ゴミを減らしましょう」って言ってるんだろうなって思います。

今、良くないのは、各々が自分のいいと思うことだけをやっているだけになっているところ。各自治体が良かれと思って配ったエコバッグが大量に家に集まってくるけど、みんなバンバン捨てられてますからね、それ一番環境に良くないじゃんって。みんなが共通認識の中で手を繋いで一緒にやっていこうってならないと地球環境はよくなっていかない。なんのためのエコなのかを考えないといけないですね。

オンラインコミュニティ 滝沢ごみクラブではゴミ問題についてみんなで話し合う場をつくっている

大掃除や断捨離をしようと思っている方へ

年内にゴミを捨てたいって人は多いと思いますが、大体の人はクリスマスが終わったくらいで、年末だ!と慌てて大掃除を始めます。そうなると年内で可燃ゴミの回収の日は2回くらいあるけど、資源、不燃ゴミの回収の日はもうなかったりして、無理やり可燃ゴミの中にまとめて入れちゃう人がいます。

たまに「スプレー缶」や「モバイルバッテリー」が入ってるときがありますが、絶対にやめてください。これは燃える、燃えないの問題ではなく、清掃車や清掃工場で押しつぶされた際に火事の原因になってしまうとても危険なゴミです。

捨てたから終わり、ではなくその先に必ず回収してくれる誰かがいます。それを忘れないでほしい。大量のゴミを捨てる際はとにかく「計画的に」!


大掃除で出てきた不要品を捨てずに
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