洪水に強い地域づくりプロジェクト(パートナー団体:RRN(アール・アール・エヌ))
マディ市に住むレサム・ラル・アチャルヤさんの家はバンダルムレ川から離れていますが、バンダルムレ川で行われている洪水対策の活動をよく知っています。
洪水対策のインフラの設計調査のために訪れる私たちに、レサムさんは「あなたたちは専門家らしき日本人をつれて来て川を何回も調べるだけで何もしないじゃないか」と、怒りをぶつけることがよくありました。彼は早く目に見える洪水対策が見たかったのです。毎年この地域が洪水に悩まされているのを知っていたからこそ期待が高かったのでしょう。
<上流から下流までの包括的な対策>
洪水対策の土堤や蛇籠(じゃかご)設置の第一期工事が終わった今(2018年9月現在)、レサムさんの考えは変わり、「この活動のように他の団体も活動してほしい」と言います。「この活動のように」とはどういう意味か尋ねると次のように答えてくれました。
「過去には効果的でない洪水対策を見てきました。あちらの川の1カ所、こちらの川の1カ所と部分的に小さなインフラを設置した結果、支援を受けた集落と受けられなかった集落の間のいさかいや、ある集落で対策を行った結果、被害が増えてしまった別の集落との争いも目撃しました」
「でも、今回は違います。1つの川に集中して川沿いの集落が協力しながら上流から下流まで包括的な対策をしていて素晴らしいと思います。だからこの流域の集落間にはいさかいがないのです。集落同士のつながりが強まり調和が生まれているのが強みだと思います」
<土堤を住民たち自身の財産にするために>
また、レサムさんは今後土堤の強度を高めるための植林を住民自身の手で行えば、土堤を自分たちの財産だと住民がいっそう感じるようになるだろうと思っているそうです。
キル・バハドゥール・ガレ(シャプラニールネパール事務所プログラム・オフィサー)