シャプラニールが「バングラデシュの取り残された子どもたちへの初等教育支援」を開始してから、1年以上が過ぎました。この事業では行政やNGOの支援が行き届いていない「川の中洲に住む貧困層」と「公用語を持たない先住民が多く住む地域」で、すべての子どもたちが等しく継続的に初等教育を受けられる地域づくりを目指しています。
事業期間の前半部(2021年3月~8月)はCOVID-19感染拡大によるロックダウン及び教育機関閉鎖に直面し、活動を思うように進めることができませんでした。教育機関の閉鎖が長く続き、多くの人々の教育への関心が薄れてしまっている中、子どものいる家庭への戸別訪問などを通して活動を粘り強く続けました。
そして2021年9月からは教育機関が再開し、学校・地域住民・地方行政などを巻き込んで、本格的な活動を行うことができました。結果、地域の人達が子どもたちの教育環境の改善のために、少しずつ動き始めています。その事例を、いくつかご紹介します。
学校で楽しいイベントを開催
子どもたちにとって学校が楽しい場所となるよう、運動会、識字の日やこどもの日などの記念日に合わせたイベントなどを開催しました。これらのイベントでは、SMC(School Management Committee –学校運営委員会)や地域住民が金銭的なサポートを行い、行政官も含め、多くの人々が積極的に参加しました。このように、地域全体で子どもたちの学習を応援する動きができつつあります。
地方行政の巻き込み
この事業では、地方行政が地域の教育の課題に気づき、その役割を果たすようになるための働きかけを行っています。地方行政を巻き込んだワークショップでは、行政側が会場を無償で提供するなど、協力的な姿勢を示しています。また、地域住民の話を聞いた地方行政が、地域内の先住民の子ども達へ奨学金を給付するための手続きを自ら開始するといった動きが見られました。
ボランティアの協力による、子どもたちへのサポート
事業地内外から多くのボランティアが集まり、積極的かつ自発的に子どもたちの教育環境の改善に向けて取り組んでいます。子どもたちへの文具の寄付、学習支援の補助、貧困世帯への衣類・食料寄付など、様々なボランティア活動が行われています。
バングラデシュ事業担当 峯ヤエル