日本でもCOVID-19の感染状況は収束せず、不安定な日々が続きますが、皆さまの継続的なご支援のおかげで、シャプラニールはバングラデシュとネパールでの活動を粘り強く続けることができています。あらためて感謝申し上げます。
さて、今回は、10月時点でのネパール国内の現状や、各プロジェクトの進捗状況をご報告いたします。
感染拡大を見せるネパールの現状(10月15日時点)
COVID-19の累計感染者数は12万人に達し、累計死者数は636人となりました。10月10日には一日の新規感染者数が初めて5千人を超え、一日のPCR検査数が19,000件近くと件数が増えたとはいえ、陽性率が20%を超えている状況です。ICUの空きも少なくなっていると報道されています。
このような中、10月末にはネパール最大の祭り「ダサイン」がひかえています。通常ですと、多くの人がこの祭りの休暇に、カトマンズなどの都市部から地方の故郷へ帰省しますが(日本の盆、正月時と同じ)、COVID-19の感染拡大状況から、保健省は帰省しないよう呼びかけています。また、多くの人が安全対策をとれない場合、ダサインの前に再度ロックダウンしなければならないという声も政府関係者から出てきています。
◆ 現行プロジェクトの状況
シャプラニールはこれまでに、COVID-19感染拡大の影響を受けて生活が困窮した人々への食糧配布等、各地域で緊急救援活動を実施する他、現行プロジェクトを止めないように、今、支援が必要な人々を対象に活動を続けています。
・洪水が多い地域での防災活動
チトワン郡マディ市で実施している洪水防災事業は、3月に発令されたネパール全土のロックダウンにより一時活動を休止していましたが、マディ市からの強い要望もあり、感染予防策を徹底しながら、対象河川で予定していたインフラ設置作業を、なんとか雨期前に完了させることができました。また、洪水災害の危険が高まる7月~9月の雨期には、コミュニティラジオを通じて、安全行動を促す公共広告を放送しました。このような活動も貢献してか、今年の雨期は人的・物的な被害は報告されていません。今年度後期は引き続き安全対策を取りながら、勉強会や研修を通じた防災能力強化、コミュニティでの防災体制強化に取り組んでいきます。
▼体温を測るなど感染対策を徹底して、インフラ設置作業に取り組んでいる様子
また、マディ市は市内におけるCOVID-19感染対策として、新たな隔離施設(陽性だが無症状、軽症者が滞在する施設)の設置・運営を決定し、市内で活動するNGOにも協力要請がありました。そこで、シャプラニールは9月に隔離施設で使用するベッドなどの資材購入するための資金提供支援を実施しました。この施設では最大20名滞在可能なところ、これまでに9名が利用し、全員が回復して退所したと報告を受けています。
▼新たに設置された隔離施設
海外活動グループ ネパール事業担当 菅野