洪水に強い地域づくりプロジェクト(パートナー団体:RRN)
現在、ネパール防災事業の一環として、水害の多いチトワン郡マディ市を流れるバンダルムレ川で、河川の幅を拡げ、両岸に土提を造り、蛇籠(じゃかご)を設置する工事を6月中旬の完了を目指して進めています。
すでに川幅を拡げる工事は終わり、中流から下流にかけて約6kmにわたって土提が造成されています。また、鉄線で編んだ箱状の籠に砕石を詰め込んだ蛇籠も河川の護岸や斜面の補強のために設置中です。この蛇籠作りのために、スタッフも専門の工事作業員や住民と一緒に石集めや運搬に汗を流しています。
<住民の願いが形となって>
この大規模な工事は、毎年バンダルムレ川で発生する洪水に悩まされていた住民が待ち望んでいたことです。そのため、住民の期待も高く、積極的に事業に参加、協力をしてくれています。工事の質は、スタッフと共に、工事に参加している住民からも厳しくチェックされていると言えるでしょう。
<完成、これからの課題>
建設されたインフラをどのように維持していくのかも考えなければいけません。まず、土提の強度を増すために、植林を行う予定です。政府によって推奨される土木工学と生物工学の組み合わせです。そして、インフラの修繕や維持費を住民が少しずつ積立ていくことも検討しています。もちろん、地方行政の協力も得ていきます。
<「One River, One Community」がつなぐ希望>
この事業では「One River One Community」というスローガンを掲げ、河川の一部ではなく、上流から下流までの河川全体を見て、どこに防止策を講じれば水害に対してより効果的かを、日本の技術専門家のアドバイスを基に検討し内容を決めてきました。本事業がモデルとなったのか、マディ市は、市内にある他の大きな河川でも次々に土提の造成を始めています。本事業がモデルとなり、市内のみならず郡内、国内にも展開されることを期待しています。
キル・ガレ(シャプラニール、ネパール事務所プログラムオフィサー)