バングラデシュやネパールには成長・発達、保護、参加といった基本的権利を享受できない子どもたちが多く存在します。シャプラニールは子どもの権利の中でも成長を阻害する「児童労働」と、健全な発達や社会参加に欠かせない「教育」について、とりわけ行政やNGOの支援から取り残された子どもたちや地域を対象とした活動を行っています。
本プロジェクトでは、持続的な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、以下の解決を目指し活動しています。
チョールと呼ばれる川の中洲に ある小学校12校で、学校運営委員会が学校運営に積極的にかかわっていくよう促します。教育を担当する地方行政にも働きかけ、小学校の教育環境を改善させ地域の子どもたちが一人でも多く小学校に通い、適切な教育を受けられるようになることを目指します。
なお、本事業は、補習学級を運営するサービス提供型の支援活動を終了し、地域に存在する仕組みや資源を生かし、行政の機能向上を目指して活動しています。
プロジェクト名称 | 明日も学校へ行こう!プロジェクト |
活動期間 | フェーズ2:2015年7月~2019年9月(終了)、フェーズ1:2012年~2014年 |
活動地域 | ノルシンディ県ライプラ郡の 1 ユニオン(行政村、バングラデシュにおける行政の最末端単位) |
予算規模 | 約188万円(2019年度4月~9月) |
裨益者数 | (1)約5,515人(2)不特定多数 |
パートナー団体 | (1)PAPRI(パプリ)>団体紹介 (2)パートナー団体無し(シャプラニールダッカ事務所単独プロジェクト) |
私たちがこの活動で目指していること
中洲に暮らすすべての子どもたちが、
公的な教育が受けられれること
問題の背景
バングラデシュの国土のほとんどはインドやネパールから流れてくる大河の沖積低地(中洲、ベンガル語でチョール)です。中洲とは言えその規模は離島で、教育の機会も限られ支援は届きづらいのが現状です。この背景には、学校運営委員会(日本の教員委員会とPTAの機能を合わせたような組織、SMC :School Management Committee)が機能していないことや、これまでの習慣により親の子どもに対する教育に対する関心の低さなどがあります。
目標を達成するために取り組んでいること
学校に対する取り組み
学校運営委員会(日本でいう教育委員会とPTAの機能を兼ねる)に対し、主体的に運営会議を開催したり、学校行事に参加したりするように働きかけます。例えば、学校の教育環境整備(校舎や校庭修繕など)のための資金調達や施設奨学金の給付などの活発な活動につながるよう期待をしています。そして、学校運営委員会同士で合同会議を実施し情報交換するなどの相互での組織の能力向上を図ります。
親に対する取り組み
学校教育の意義や学校運営、奨学金などの教育支援制度の使い方等について説明する場を設け、また保護者間で子ども達の教育について話し合うグループディスカッションなどを行っていました。
行政に対する取り組み
地方行政官やユニオン議会への参画など、行政との関係づくりを強化します。2019年度には、チョールでの教育環境改善を行政官に共有する、事業成果の共有ワークショップを行ったことで、80校の現状視察が行われ、また教師たちの出勤には不可欠であった中洲への小舟移動も出勤時間に合わせた船の出航が取り決められました。
企業・団体との協働
日本国内の活動では、さまざまな企業や団体からの寄付、物品寄付「ステナイ生活」の支援、現地の事業への直接支援などでご協力をいただいていますSDGs、CSR活動についてのお問い合わせはこちらをご覧ください。
動画でみるシャプラニールの活動
これまでの成果とSDGsへの貢献
重点分野のひとつ「子どもの権利を守る」取り組みが具体的にSDGsのどの部分の達成に貢献しているのか、該当するゴールとターゲットとその達成度を測るために設定された指標に照らし合わせました。
「質の高い教育をみんなに」該当ゴール 4
すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
ーターゲット 4.1
2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ有効な学習成果をもたらす、自由かつ公平で質の高い初等教育および中等教育を修了できるようにする。
ー指標4.1.1
(i)読解力、(ii)算数について、最低限の習熟度に達している次の子供や若者の割合(性別ごと)( a)2~3学年時、(b)小学校修了時、(c)中学校修了時
ーどのような貢献をしているのか
対象地域内12校の生徒4,829人が主な対象。学校運営協議会の活動強化や教育の質の向上に取り組んだ。対象地域の就学率は76%(2015)から99%(2019)まで向上。5年生修了試験合格率は86%(2015)⇒86%(2018)と変化がなかった。※2018年に試験の形式が大幅に変更となったことが影響していると考えられる。
関連資料
・会報南の風287号 特集:シャプラニールの活動から見るSDGs
・外務省公式サイト 日本のSDGグローバル指標の進捗状況について
パートナー団体紹介
団体名 | Poverty Alleviation through Participatory Rural Initiatives (略称:PAPRI、略称読み:パプリ) |
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団体概要 | 1999 年、シャプラニールから独立してできた現地NGO。 首都ダッカの北東に位置するノルシンディ県(人口約190 万人)内に活動拠点をもつ中規模NGO として、マイクロクレジット、保健衛生など、広く農村開発に取り組む。独立した当初はシャプラニールのみをパートナーとしていたが、徐々に組織としての評価を高め、国連開発計画(UNDP)やユニセフ(UNICEF)などの大きな国際機関とも連携している。 現在は、チョール(川の中洲)にある小学校12校で学校運営委員会が学校運営に積極的に関わっていくよう促す。教育を担当する地方行政にも働きかけを行い、小学校の教育環境を改善し、地域の子どもたちが一人でも多く小学校に通えるようにすることを目指した活動の成果をまとめ、行政や他のNGOなどへ共有・議論する場をつくっている。 |
現地ルポ
バングラデシュの事業対象地域6,086世帯を対象に訪問調査を実施
明日も学校へ行こう!プロジェクト(パートナー団体:PAPRI…
ご支援のお願い
シャプラニールは、皆さまからのご寄付やボランティアに支えられ、1972年より独立間もないバングラデシュの農村での活動から始まり、そして現在はネパールへも活動を広げ、現地の声を聞き対話を重ねながら支援から「誰も取り残さない」活動を続けることができています。
これからもこの活動を続けるには、皆さまの継続的なご支援が不可欠です。子どもたちが適切な教育を受け、社会の一員となり生活することを支援するこの活動を、ぜひ一緒に支えるてくださいませんか。
ご支援の方法はいくつかあります。ご寄付(今回のみ、月々)、物品のご寄付など、ご都合のよい方法でご支援をお願いいたします。