2011年11月に始まったカトマンズ盆地での児童労働予防・削減を目指した活動は、2015年3月でひとまず終了を迎えます。これに際し、この活動で何ができたか、この活動からどのような学びがあったかなど、今後の活動に生かしていくために評価作業を実施しました。
具体的には、事業目標に照らし合わせて児童保護推進委員会への働きかけという活動が効果的であったのか、私たちが作成した行動規範は適正であったのか、この活動で働く子どもたちの周囲の人々の意識の変化に影響を与えることができたのかなどを中心に評価。この作業はシャプラニールとパートナー団体CWINの合同チームで行い、チームリーダーとして日本から大橋正明評議員に加わりました。
カトマンズ盆地にある3つの自治体(カトマンズ市、キルティプール市、ラリトプール市)で児童労働に対して重要な役割を担っている児童保護推進委員会への取材はもちろん、市の重役、雇い主、人権活動家や他市の重役などの重要な関係者に対してもインタビューを行いました。こうした利害関係者への取材を通じて、市民や雇い主の意識の変化が着実に行動の変化として現れてきていることを改めて確認することができました。
その一方、この事業で至らなかった点も明らかになりました。最終的な評価報告書には、11の提案が書かれています。その中には、児童労働に従事する子どもの数の推移をより適切に把握するための仕組みづくりや、シャプラニール内部での情報共有やパートナーとの合意形成プロセスにおける課題の克服、子どもたちの置かれた状況を見極めるこまやかな観察眼と柔軟な対応の必要性などが指摘されています。児童労働を減らすための効果的なモニタリングのあり方を再考する良い機会になりました。
間もなく現在の3カ年計画は終了を迎えますが、その後の展開として私たちはカトマンズ盆地以外での事業実施を考えています。この結果が新しい活動地での活動で活かされるように、パートナー団体であるCWINとよく議論を重ねていきたいと思います。
ニルマラ・グルン(カトマンズ事務所 プログラム・オフィサー)