ph23-2.jpg児童保護に関する年間計画を話し合う市役所職員

ネパールで、児童労働をなくすことに関わる組織はたくさんあります。行政機関や警察、半官半民の組織から労働組合、NGOなどです。その中でも、私たちが一緒に活動しているのは、主に3つの市役所の社会開発の担当部署。活動の企画・立案から実施に至るまでの間、私たちの考えるプロジェクトのデザインを共有し、理解を得るのに非常に多くの時間と労力がかかりましたが、こうした時間は、むしろその後の成果のためにはとても大切なものだった、と今は思っています。

例えばカトマンズ盆地の中心的な都市の一つ、ラリトプール市では、児童保護や子どもの権利に関する予算を全体の10%から15%に引き上げることに成功するなど、これまでにたくさんの成果を得ることができました。そこには市役所自体が児童労働を大きな問題と捉え、自分たちが中心となって取り組んでいかなければならないと、意識が変化したことが最も大きく影響していると思います。これは私にとっても、本当に嬉しいことです。

今では市の職員が子どもの権利などを学ぶ講座を自ら受講し始めるなど、「みんなで児童労働をなくそう!」という熱意が広がりを見せています。

啓発ポスターを一方的に貼って回るより、児童労働のないレストランに感謝を込めて証明書を渡す方が圧倒的に効果的だと考えられるようになりました。このことからも分かるように、働く子どもを取り巻く大人たちが変わること、そしてそれを促していくことこそが、私たちが取り組むべき大切な活動なのだ、と改めて確信しています。

ニルマラ・グルン(カトマンズ事務所 プログラム・オフィサー)