ネパール・マクワンプール郡でパートナー団体CWINと実施している児童労働予防削減事業は、2022年度で2年目を迎え、現在、活動計画に沿って順調に進んでいます。
2022年3月には、特に脆弱な生活環境下にある200人の子どもたちへの教育支援を開始しています。学校に通ったことのない、あるいは中退した子どもたち、それぞれの状況において問題の原因の把握し、教育を受けるためには何が必要なのかを見極め、入学費や教科書購入費の補助などの経済的な支援を行っています。さらには児童労働撲滅行動計画を作成し、子どもの権利が守られる社会の実現に向けた取り組みを行政や地域住民とともに行っています。
6月12日の児童労働反対世界デーには、児童労働の経験のある子どもたちと地域住民に加えて、地方政府と教育機関の幹部と担当者も参加いただき、児童労働の問題について議論するイベントを行いました。子どもが労働に従事するのではなく、教育を受けることの大切さを話し合いました。また、メディアを通じて多くの市民に活動内容を理解いただき、子どもの権利について考える契機とすることも、この事業の施策の一つです。テレビやラジオ、YouTubeやSNSで、本事業を紹介する番組が放映され、活動についての問い合わせや支援をしたいなど、多くの好意的な反響が寄せられました。これからも子どもたちに寄り添い課題の把握に努め、関係者すべてを巻き込んで、子どもが健康に幸せに暮らせるために、事業を確実に進めていきます。
子どもの声
子どもの声 労働から逃れ、
勉強ができる嬉しさ
ディーパク・パラジャさん (16歳)
この事業に巡り会う前は、朝4時から夜8時まで、カトマンズのカーペット工場で働いていました。ミスをするたびに暴力を受けたり、お給料を減らされたり、辛い思いをしてきましたが、CIWINのスタッフが僕の地元であるマナハリ村でこの状況を聞きつけ、工場に訪ねて来てくれました。工場主、両親、事業スタッフが話し合い、行政も味方になってくれたおかげで、今では工場での労働から逃れ、地元の学校に通えるようになりました。僕の夢は、しっかりと勉強して、僕のような子どもたちを助けることです。
報告/ネパール事務所 プログラムオフィサー スリジュナ・シュレスタ
事業概要
シャプラニールは、2011年~2014年にカトマンズ盆地内で、レストランで働く子どもを削減するための事業を実施し、その経験から都市で働く子どもの大部分は地方部から来ており、児童労働の送り出し地域である地方部での予防事業が必要なことがわかりました。これらの経験、課題を踏まえ、シャプラニールは事業地において、行政に対し児童法に基づいた児童保護権利政策の制定支援や、地域住民と協働で地域で児童労働を減らすための活動に取り組みます。
会報「南の風」298号掲載(2022年12月発行)