マクワンプール郡マナハリ村で実施中の児童労働削減事業では、児童労働に陥る可能性の高い子どもたち/働く子どもたちとその家族への個別支援として、それぞれの家庭の状況に応じて、教育支援や、技術研修支援を行っています。
学校に通ったり将来に活かせる技術を身につけることは、貧困の連鎖を断ち切り、家庭の状況を改善するための強力な手段となり得ます。
今回は技術研修支援の事例を2つご紹介します。
将来のために何か技術を身につけたい
ラミタさん(仮名)スニタさん(仮名)姉妹はマナハリ村2区で両親と暮らしています。父親は日雇い労働をしており、家族には他に収入源がありません。それでも両親は子どもたち全員を学校に通わせることを優先してきました。しかし、教材や学費を確保するどころか十分な食事をとることも難しい状況になってきたため、プロジェクトでは姉妹に制服や学費、食糧を提供することにし、二人は学校に継続して通えるようになりました。スタッフがフォローアップのため家庭訪問を続けるうちに、姉妹には将来のために何か技術を身につけたいという希望があることがわかりました。そこで二人や家族と相談を重ね、ラミタさんには1年間のコンピュータ研修を、スニタさんには美容研修を提供することになりました。二人が研修を受け技術を身につけることで、彼女たちの将来の見通しが向上し、家族を支える助けになる可能性があります。事業スタッフは二人と家族に寄り添い、引き続きフォローアップしていきます。
働くのをやめて、母や兄弟の手助けがしたい
ラジャニさん(仮名)は、母親と妹と弟とマナハリ村8区に住んでいます。彼女は経済的な理由と遠距離通学を理由に4年生の時に退学を余儀なくされました。父親が亡くなり母親が日雇いの仕事をし家計をやりくりしましたが、生活必需品を買うこともできず教育に必要な教材を買うことは困難になったためです。退学してからラジャニさんは母親とともにマナハリ村を離れ南部パルサ郡の中華街で家事使用人として働いていました。プロジェクトを通じて、ラジャニさんと母親はカウンセリングを受けました。ラジャニさんは働くことを辞め、村に戻り、家できょうだいの勉強を見ながら母親の手伝いをしたいと望んでいました。そこで、新しい技術を習得し将来的に家族を助けることができるよう3か月間の仕立て、裁縫、織物の研修を提供することにしました。研修を受けたラジャニさんは母親を助け、将来的には兄弟にも技術を教えることができると話してくれました。
児童労働は長い歴史や文化、政治経済、そして社会的差別に根を持つ難しい問題です。今日もこういった差別によって苦しむ子どもたちがたくさんいます。私たちは、彼女たち彼らをいかに力づけ勇気づけること考え、行政や社会の様々な立場の人達と一緒に手を取り合って問題をひとつひとつ解決につなげていきたいと思います。どうぞ引き続き私たちの活動をご支援いただき、温かく見守って頂ければ有難いです。
ネパール事務所長 竹下裕司
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