シャプラニールでは、ネパールで児童労働の送り出し地域、受け入れ地域となっているヘタウダ市およびマナハリ村にて児童労働削減の活動を続けています。

今年3月にチャイルド・ヘルプ・ラインのヘタウダ市事務所へ訪問することができました。その時の情報も合わせてお伝えします。

子どもの困りごとに寄り添うことが児童労働削減につながる

児童労働を防ぐためには、子どもたちが何か困りごとや心配事があって周りに相談できないとき、どこかに安心して相談できたり、必要であれば手を差し伸べてくれるところが必要です。

パートナー団体であるCWIN(Child Workers in Nepal Concerned Center)は1988年からチャイルド・ヘルプ・ライン(電話相談サービス)の運営をしており、シャプラニールはこの活動を支援しています。

電話相談室(右側)

電話だけでなく、最近ではEメールやSNSなどを通じて子どもからのSOSを受け取っています。

2023年には1年間で、全国からおよそ3,000件の相談を受けており、ネパール国内の子どもが抱える問題の深刻さについて考えさせられます。 最近の相談内容の傾向としては、オンライン上のトラブルについての相談が多く寄せられています。スマホの普及にともなって、子どもたちが気軽に知らない人とやり取りしたり、出会ったりする中でトラブルが増えてしまっています。

電話の対応をするスタッフ
チャイルドヘルプラインのポスター

子どもたちのSOSを聞いた後、場合によっては救出した後、事務所2階のシェルターで保護し、保護者の元に返したり、学校に通えるように教育支援を行ったり、心理カウンセリングの提供や必要な場合は行政や他専門NGO、警察と連携して法的なサポートを行ったりしています。

救出された子どもを保護するシェルター
保護された子どもたち

訪問した時の感想

今年2025年3月に、訪れたときはシェルターに滞在している子どもはおらずホッとしましたが、今でもヘタウダ市、マナハリ村では頻繁に児童労働のリスクがある子どもたちが見つかっています。

私たちが訪問した時には、5名ほどのスタッフが出迎えてくれ、最近の児童労働の傾向や原因などについて情報交換や話し合いの時間を持つことができました。貧困や家庭内不和によって、学校や家庭に居場所をなくした子どもたちは、児童労働に陥るリスクが高まるということでした。子どもたちを取り巻く環境はシビアで楽観視できるものではないですが、スタッフが至る所に気を配り、救出された子どもたちをケアしていく体制が整っていると感じました。

子どもたちが安心して相談できる環境を整えることは、児童労働削減のために大切なことです。シャプラニールではチャイルド・ヘルプ・ライン事業を通して今後も児童労働削減事業を推し進めていきます。

子どもたちの笑顔に癒されました
マナハリ村で子どもたちと記念写真

事業推進グループ ネパール事業担当 日比