個別支援に取り組む理由
ネパールマクワンプール郡マナハリ村にて実施している児童労働削減事業において、事業の柱となる活動の一つが「児童労働に陥る可能性の高い子どもたち/働く子どもたち(以下ハイリスク児童)への個別支援」となります。
日本の福祉の現場では、生活保護や児童保護等、支援が必要な人の状況に応じたケースワーク(個別支援)が確立されていますが、これまで事業地では、子どもたちへのそのような支援方法が実施されていませんでした。
子どもたちが児童労働に陥る要因は、家庭の経済的な貧困が多数の理由となっていますが、その抱える課題の背景は、ひとり親家庭であることや父親のアルコール依存症、カーストの問題等、それぞれの家庭によって異なり、必要とされる支援方法も異なります。
そのため、各家庭の状況を把握し、その状況に応じた個別支援は、子どもたちの児童労働への従事を防止するための、中長期的な支援として必要なアプローチとなります。
準備期間を経て個別支援の実施がスタート
現地のスタッフたちは、個別支援を実施するガイドライン作成、日本の社会福祉専門家による日本の個別支援方法レクチャー受講、事業地の子どもの情報を集めるための全世帯調査を実施し約半年間かけて、この個別支援を実施するための準備を進めてきました。
そして、この3月に、全世帯調査結果から、行政関係者や地域住民も確認の上で、事業地において特に脆弱性の高い200名をハイリスク児童として選定し、個別支援を開始しました。
まずは、選定されたハイリスク児童の家族の脆弱性を考慮し、特に緊急度の高い食料支援を実施しました。引き続き、選定された児童に対しては教育支援(学用品提供、学費支援)や保護者への生活改善支援(農業技術支援、農器具/種子の提供、アルコール依存症者へのカウンセリング)等を実施していきます。
先日、シャプラニールに入って初めてのネパール出張にて、この個別支援の様子を現地で見ることができました。食料を受けとりほっとした様子の児童、また、「(この取り組みは)新しいアプローチとなり、とても興味深い。意味のある重要な取り組みだ。」と意気込んで話す現地スタッフの顔が印象的でした。
海外活動グループ 菅野