感染が拡大し、全土ロックダウンとなったバングラデシュの状況(4月8日時点)
バングラデシュで初めてCOVID-19の感染者が確認されてから1年以上経ちましたが、残念ながら収束の目途はまったく立っていない状況です。累計感染者数は66万人に達し、累計死者数は9,500人以上となりました。1月、2月は感染状況も落ち着いてきており、また2月からはワクチン接種も始まっていましたが、3月の半ばごろから感染者数および死者数が急激に増え、危機的な事態となってしまいました。4月7日時点では新規感染者数が7,626人と過去最多、また死者数も同じく過去最多となり、人々の不安が高まっています。
こうした感染拡大、医療機関のひっ迫を受け、政府は4月5日から1週間の全土ロックダウンを発令しました。移動制限、レストランやショッピングモールの閉鎖といった指示が出されています。このロックダウンは、感染状況に応じて延長される可能性もあります。
◆ 現行プロジェクトの状況
感染の拡大を受け、バングラデシュ事務所は政府の指示に従い、ロックダウン期間中は在宅勤務で業務にあたっています。日々変化する状況に適応しながら、現地パートナー団体との連絡を密に取って事業のフォローアップを行っています。
・バングラデシュのサイクロンが多い地域での防災支援
現地パートナー団体JJSとCOVID-19の感染状況に適応しながら、バゲルハット県での活動を継続してきました。当初2020年9月末までとされていた事業は、COVID-19の影響で活動が予定通り行えず、2021年6月末まで延長されました。この延長期間では、これまで行ってきた防災活動を続けるだけでなく、COVID-19 下でのサイクロンへの備えが十分できるように、追加策を取り入れています。今回、新しい取り組みをいくつかご紹介します。
①サイクロンシェルター*での備え
事業地の60シェルターにて手洗い場が設置され、また72シェルターにおいてマスク、石けん、手袋などの衛生用品が備蓄されました。これにより、サイクロンが発生しても、地域の人々がシェルターでの感染を恐れずに、安心して避難できることが期待されます。
※サイクロンシェルター:サイクロン(強い熱帯低気圧)が襲来した際の住民避難所
➁防災関係者を対象とした意識啓発
本事業では常時から、地域の防災関係者に自主的な防災活動に取り組むよう働きかけていますが、COVID-19の影響を踏まえ、その防災行動に感染予防対策を取り込むためのフォローアップを行っています。各アクターへの感染症に関する最新情報の共有、地域の防災関係者による感染症対策戦略計画の策定のサポート、サイクロンシェルター管理委員会への安全対策に関する研修等を行いました。
③地域住民に向けた情報発信と啓発活動
地域住民が常時から、そして災害時に感染予防対策を取るための情報発信と啓発活動を行っています。サイクロンシェルターでの壁画、ポスターやバナーの掲示やパンフレットの配布を通して手洗い、フィジカルディスタンスの維持、マスクの着用等についての正しい情報を発信しています。また、COVID-19 下での災害の発生を想定した模擬演習を実施し、地域住民に直接啓発を行うための屋外ミーティングを開催しました。
バングラデシュでは地域によってはCOVID-19への十分な知識の共有や予防対策が取れない状況にあることも課題です。これからサイクロンシーズンが訪れますが、バゲルハット県では、上記の取り組みにより常時だけでなく、災害時にも感染症対策を取り入れた適切な防災行動が取れるよう活動を進めています。
海外活動グループ/バングラデシュ事業担当 峯