2024年5月26日(日)夜から27日(月)にかけてバングラデシュに上陸したサイクロンRemalは、バングラデシュ南部の広範囲に被害を及ぼしました。
シャプラニールでは、上陸前の25日(土)から情報収集を開始し、関係各所とのやりとりを開始しました。上陸後は暴風雨の影響で停電や通信が断絶するなどしていまいたが、サイクロン上陸から1週間が経ち、次第に被災状況が見えてきました。
【被災状況】(バングラデシュの国家災害対応調整センター(NDRCC)6月2日報告)
被災者:4,599,464人
開設された避難所:9,424人、避難した人:808,510人
被災地域:19県、119郡、934ユニオン
死亡者:16人
また、農業普及局(DAE)によると、48県で農作物の半分以上が被害を受けたことがわかっています。48県の総面積223万ヘクタールのうち153万ヘクタールの農地が被害を受け、稲、野菜、果物、ジュート、トウモロコシなどの農作物に被害がありました。
5月20日から地域防災力強化の事業を開始した地域(クルナ管区クルナ県コイラ郡)では、3カ所で堤防が決壊しました。サイクロン上陸前から地域住民が協力して村に水が流れ込まないように土嚢を積んでいましたが効果なく、多くの家が浸水してしまいました。今も村の中の水は引いていません。この地域は2009年のサイクロン・アイラで多くの堤防が決壊してから修繕が行われず、サイクロンや高潮のたびに浸水の被害にあっている地域です。
6月3日(月)、現地パートナー団体JJSのスタッフが大きな被害のあった地域のひとつ、クルナ管区バゲルハット県ショロンコラ郡ボギ村に入りました。クルナ中心部から南に車で3時間半ほど行った場所です。この地域はシャプラニールが2007年のサイクロン・シドル以降、2021年まで防災事業を行っていた地域でもあります。
堤防の外側に暮らしていた350〜400世帯の家はほとんどが浸水し、倒木による家屋損壊があちこちで見られました。
食糧配布は小規模で行われたようですが、必要な量は行き渡っていません。飲み水は、地方行政がタンクで運んできてくれたことで確保できており、雨水利用でしばらくはしのげるだろうとのことでした。4日から雨が予報されており、飲み水確保にはありがたい雨ですが、倒木により家が壊れてしまった世帯は、雨をしのぐ屋根もなく、調理・食事をする場所、そして睡眠をとる場所もありません。
このような状況を受け、シャプラニールでは被害の大きかった世帯に絞った緊急救援実施を行うため、1週間経った「今」必要な支援は何か、現地パートナー団体と協議を行っています。(2024年6月3日時点)
バングラデシュ事務所長 内山智子