こんにちは、認定NPO法人シャプラニールの長瀬です。

ただ今私は、バングラデシュ東部で発生した大洪水の救援活動のために南東部フェニ県のダルバルプールユニオンにあるジョガットプール村に来ています。

ジョガットプール村の人々の話を聞くバングラデシュ事務所長 内山(一番手前)

村に残る洪水の傷跡

8月末の洪水発生から1カ月が経っているものの、村に入ると災害の規模の大きさを実感させられる光景が広がっていました。レンガを敷いた道は崩れてしまっており、柱だけを残してすべて流されてしまった家、土台の土が流され傾いてしまった家などがあちこちに見られます。 

家が流され折れた支柱だけ(手前の赤い印のついた木)が残されている

洪水発生時、住民の方々は村の中にある2階建ての家の屋根に避難していましたが、5日ほど水が全く引かなかったそうです。1週間ほど経って、ようやく軍や他の地域のボランティアの人たちが食料を持ってきてくれたものの、それまでは村人たちで助け合うしかない状況だったとのこと。20日間ほどは電気もなく、電話も復旧しなかったそうです。 

このような大規模な災害はこの地域では少なくとも60年は発生しておらず、住民たちの間で防災についての知識や認識が薄く、洪水が来る前の備え(非常食の備蓄や重要書類の保護)等もできていなかったといいます。 

不安を抱える村の住民たち

村人の男性のひとりは涙を流しながら当時のことを話してくれました。 

「私の孫(8歳)は、避難中に母親の手から離れてしまい、近くの家の人が孫を助けて預かってくれていた。水がなかなかひかず、母親のいるところに戻れたのは3日後だった。3日間よく踏ん張ってくれたと思う。流されてた死んでしまっていたかもしれないと考えるととても耐えられない気持ちになる。洪水から1カ月ほど経ったが、今でもずっと私や母親の腕をつかんでぜったい離さないんだ。いつまた離れてしまうか不安で仕方がないのだと思う。この子はとても怖い思いをしたんだよ。」  

当時の状況を話してくれた男性とお孫さん

村に住む1500世帯のうちほとんどの家が流されてしまったり、壊れたりしています。田んぼや畑の作物、養殖池はすべて水に浸かり、今年の収穫がなくなってしまっただけではなく、泥が入り込みすぐには田植えもできる状態ではないため、収入手段を断たれてしまった人々が多くいます。 

洪水発生から今まで、住民たちは自分たちで道や橋を直し、食べ物を分け合いなんとか生活している状況です。 

インド側からの鉄砲水により流されてしまった道を住民たちが土を盛って修復

私たちはこの地域で聞き取り調査を行い、必要な支援の準備を進めていきます。

※本緊急救援活動は、NPO法人ジャパン・プラットフォームの助成および、シャプラニールが実施するクラウドファンディングをはじめ皆さまからのご寄付によって実施されます。


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