こんにちは、シャプラニール事務局の長瀬です。引き続きバングラデシュ東部のフェニ県で起きた大洪水の被害状況の確認と聞き取りのため、2つの村を訪れました。
住民たちは、「インド側からのダム放水の連絡がなかったから、避難の準備もできなかった。夜中だったこともあり着の身着のまま逃げた」と話しています。また「5日間で水が引いたが、誰も助けには来なかった。20日ほど前に軍やボランティアグループによる支援を受けたがそれ以降支援はない」と厳しい状況であり、今は食糧を分け合いながら食いつないでいるといいます。
2つの村の被害状況
チットリア・ユニオン、ランガマティア村は、インドの国境沿い(三方が囲まれている)に位置し、130世帯が暮らす村です。ここでも過去数十年も洪水の経験はなく、避難所はなく、普段からの洪水への備えはされていませんでした。
洪水(鉄砲水)が起きた際には、高い位置(丘)にある家やコンクリート製の頑丈な家に避難ができ、夜中の避難でしたが、障害をもつ人、怪我をしている人に手を貸し合い、幸いにも死者はありませんでした。しかし水が引いたあとに家に戻ってみたが、土地の所有権、身分証明書、学校の教科書、小さな家畜(ニワトリなど)、土づくりの家は流されてしまったといいます。
住民のほとんどが農業で、ごく稀に建設の仕事で生計を立てていますが、洪水が運んできた泥で田畑は埋まり、刈り取り前だったお米などの収穫もすることができず、次期シーズンのために育てていた稲の苗も使えなくなってしまいました。住民たちは今後どのくらいの期間、農作物が育てられなくなるのかととても心配しています。雨が降って泥を流さなければ畑も使えない、苗を植えても家畜の餌にしかなりません。
ミルジャナゴル・ユニオン、ポスティムオロカ村もほかの地域同様に、鉄砲水により土地の場所によって池だった場所には水がなくなり、池には泥が流れ込み埋まってしまっています。地形は変わり、農業で生計を立てる人々の収入の手段がなくなり、洪水の影響は大きいことが分かります。
住民たちのお話
住民A(夫(村の宗教者)、妻、子ども二人)
「10年前に嫁入り道具として親からもらった、服や布団をしまう木製の箱 、イスが泥に埋まりもう使えなくなった。布団も泥まみれとなったため、綿を取り出して乾かしているがもう使うことは難しい。」
住民B(夫、妻、子ども三人(長男は障害がある))
「夫は出稼ぎに出ていて現在は家にいない。障害をもつ息子がパニックにならないように、幼いきょうだい二人を抱えて避難するのはとても苦労した。食糧もなく、やっと分けてもらったビスケットを分けて食べた。」
住民C (夫、妻、娘二人、孫三人(生まれて2ヵ月半の赤ちゃん))
「水が首あたりまできた。流されないように家の柱にしがみつきながら、孫(赤ちゃん)を頭の上に抱えて耐え忍んだ。でもそのあと熱が出て弱ってしまったので急いで病院で診てもらった。でも1ヵ月経った今でも調子が悪い。」
現在、彼女の家族は、家の前に一時的に流されなかった素材でトタン製(壁・屋根)の建物をつくり、ベッドを運び出してそこで寝ています。庭にあった池は泥で埋まってしまい、農地だった場所はすべて流され今は泥とはけない水が溜まっていました。
住民D
「2週間ほど前に新しく建てた家に移り住んだ。建物の支柱はコンクリートだったが、土台は土だったため流され、家の中は泥が入り込み、床は抜けもうとても住める状態ではない。井戸水を貯めておくレンガ造りの土管のようなものも流され、とても使えるものではなくなった。井戸は土台ごと流され、水を遠くまで汲みに行かなければいけない。今は毎日、少し離れた場所まで水を汲みに行かなければならない。」
現在各地域で被害状況を住民に聞き取りをしています。その中からより生活が厳しい状況にある4100世帯に支援を届ける予定です。
※本緊急救援活動は、NPO法人ジャパン・プラットフォームの助成および、シャプラニールが実施するクラウドファンディングをはじめ皆さまからのご寄付によって実施されます。
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