2024年8月中旬の大雨により、バングラデシュ東部では大洪水が発生しました。シャプラニールでは緊急救援のため職員3名(勝井・髙階・長瀬)を派遣し、被災世帯への救援物資の配布を実施しました。この経過についてご報告します。(報告:髙階 悠輔)
■緊急救援の概要
8月中旬に発生した大洪水の被害は東部11県にわたり、被災者は約580万人にのぼりました。支援があまりなかった南東部のフェニ県の3つのユニオン(最小行政単位)を活動地域とし、洪水発生直後から調査を開始。9月25日から1カ月間、ジャパン・プラットフォームからの資金提供も得て、対象となる4,875世帯に救援物資の配布を行いました。活動にあたっては、被災地域での知見や経験が豊富な現地NGO、COASTFoundationをパートナー団体として協働しました。

■河川氾濫と住民の被害
フェニ県北部には、インドから流入するムフリ川という河川があります。今回の洪水で大規模に氾濫し、流域に大きな被害をもたらしました。被災した各ユニオンの集落では、おとなの胸ほどまで泥交じりの鉄砲水が押し寄せ、家屋を倒壊させたり、道路が流されてしまったり、家畜の厩舎が土砂に埋まってしまったりと、広範囲に被害が生じました。しかし大きな支援は1カ月以上なく、住民の多くは自助・共助で生活を続けざるを得ない状況でした。

救援物資の配布
支援対象となる世帯には、米、ダル(豆)、じゃがいもなどの食料品のほか、家財道具が流された世帯も多かったため、調理道具や石けん、手ぬぐいや蚊帳といった日用品も配布しました。配布には地域の公立学校やマドラサ(イスラム神学校)の校舎などを借りて実施。初回の配布時には、運営側が混乱する場面も見られましたが、回を重ねるごとに効率的な導線を考えたり、住民への声掛けを積極的にするようになり、迅速に配布ができるようになっていきました。


課題とこれから
当初の予定では4,100世帯への物資配布を計画していましたが、短期間の調査だったため、対象から漏れてしまう世帯も発生し、配布現場での苦情に繋がる場面もありました。この点は反省点の一つではありますが、その後苦情を申し立てた世帯に対しての再調査を実施し、活動終了までに775世帯に追加での配布を行いました。限られた時間や人材で緊急救援を行うという難しさを感じるとともに、一つひとつの声を丁寧に拾うCOASTのスタッフの働きぶりは非常にポジティブに捉えられるものだったと思います。

◆これまでの緊急救援活動はこちらをご覧ください。