家事使用人として働く少女はバングラデシュ、特に首都ダッカに約30万人いると言われています。
これは、私たちが出会った少女の一人、ルナの物語です。
小学校1年生で学校を辞めてしまったルナ
私たちがルナと出会ったのは、彼女が支援センターに通ってくるようになった13歳の頃でした。
「ダッカに来る前は村で両親と一緒に暮らしていました。6歳の時に学校の進級試験に失敗しお母さんにひどく叱られました。」
バングラデシュでは、次の学年に進級するためには試験に受からなければならず、この試験に通らなかったことがきっかけで、ルナは9歳の時にダッカに働きに出てきました。
9歳と言えば日本の小学校3年生。ルナは家事使用人として雇い主の家で、一日中家事や雇い主の子どもの世話をして過ごしました。
支援センターに通うようになって
シャプラニールが現地パートナー団体とともに運営している支援センターでは、ルナと同じくらいの年齢、またはもっと小さな女の子たちが、一日のうち数時間だけここへやってきます。支援センターでは読み書きや計算だけでなく、同世代の女の子たちと歌ったり、レクレーションをしたり子供らしい時間を過ごす機会もあります。ルナも13歳の時にこのセンターに通い始めました。彼女はセンターで習った絵を雇い主の家で子どもに描いてあげたりしたそうです。
「新しい人生をもらいました」
支援センターに通うようになって、少しずつ自信をもって生きられるようになったルナは、とても大きな経験をしました。児童労働反対を訴える大きな集会でスピーチをしたのです。
「とても緊張しました。大勢の前で話すなんて…。でも支援センターのリーダーとして、リーダーシップを取れるようになったから、私にもできました。」
家事使用人として他人の家で働いていた物静かだった少女が、自分の意見を人前でスピーチできる青少年リーダーに成長していました。
「この集会に取材に来ていた新聞に、私がスピーチしていた写真が掲載されたのです。とっても嬉しかったです。」
目を輝かせて話すルナ。
「支援センターの先生、日本から支援センターの運営を応援してくれるシャプラニールに、私は新しい人生をもらいました。支援センターがなかったら、こんなに自分に自信をもつことはできませんでした。」