裁縫の授業では、靴下を利用し5人で一つの人形を作ります。

裁縫の授業では、靴下を利用し5人で一つの人形を作ります。


ダッカ市内3カ所で家事使用人として働く少女のためのヘルプセンターを運営しているこのプロジェクトでは、多くの少女たちが見違えるような変化を遂げています。現在、家事使用人として住込みで働いている16歳のマクスダも、アラムバーグのセンターに通うようになって大きく成長した一人です。

最近はセンターでできた友人とのおしゃべりを楽しんだり、勉強にもとても意欲的に取り組んでいるマクスダですが、母親とは連絡を絶っているといいます。マクスダは8歳で父親を亡くしています。その1年前に父とダッカを訪れ、あろうことか父親は説明もそこそこに彼女を雇用主の家に残して帰ってしまったそうです。当時7歳の彼女は自分がどこから来たのかもわからないので帰ることもできず、突然の出来事に情緒が不安定になった時期もありました。幸いなことに彼女の雇用主は理解があり、彼女を娘の一人のように受け入れてくれたそうですが、心に傷を抱えた当時の彼女はそれらを素直に受け入れることができませんでした。雇用主から勧めてもらったというこのセンターにも当初はそれほど興味を持てなかったといいます。読み書きができなかった彼女は初対面の人との接し方もわからず、センターに通い始めてもしばらくは誰とも話さず部屋の隅にばかりいました。

しばらく経つと、マクスダは少しずつ変化していきました。センターに通う他の少女らと交流するようになり、勉強も徐々に意欲的に取り組むようになっていきました。今では家でも勉強し、インターネットで動画サイトを使って新たな知識を得るまでになりました。簡単なものであれば新聞も読めますし、一人で買い物に行くこともできるようになりました。

このように自立の道を歩み始めた彼女ですが、一番必要としていた時に手を差し伸べてくれず、愛情を感じられなかった母親への送金を止めたそうです。稼いだお金は現在雇用主に預けていて、18歳になったら自分の銀行口座を開く予定とのこと。今一番好きなクラスは裁縫で、残り3カ月あるクラスが終了したら雇用主が彼女にミシンを購入してくれる約束なのだそうです。

ナスリン・アハメッド(Phulki・プロジェクト マネージャー)