こんにちは。バングラデシュ事務所長の内山です。シャプラニールは、子どもの権利、児童労働に対する政府の諸政策、家事使用人として働く少女の現状などについて、一人でも多くの人に知ってもらうことを目的に、バングラデシュの公共ラジオ番組を、週1回、10回シリーズで全国に放送しています。

先日の番組では、2人の少女が自分の経験を語ってくれました。
彼女たちの言葉を聞いて、皆さんは何を感じるでしょうか。

ラジオ録音風景、自分の経験を思い出し時に涙を流しながら話をしてくれた

ラジオ録音風景、自分の経験を思い出し時に涙を流しながら話をしてくれた

バルダさん(仮名)18歳

ダッカに働きに出された時、私はまだかなり小さく年齢はわかりません(おそらく5-6歳)。

最初は、ダッカは楽しい場所なんだろうと思っていたけれど、とても大変な仕事でツライことばかりでした。休暇で村に帰らせてもらった時、両親になぜ私を働きにだしたの?と聞いたのですが、うちは貧しいし子どもが多いから、と両親は言っていました。私は8人きょうだいの3番目です。私は家族と一緒に暮らしたかった。でも家族のために、つらかったけど仕事を続けてきました。

雇い主の家には同い年の男の子がいました。彼が学校に行き勉強をしている姿を、私は隣で座って見ているだけでした。私は学校の門の中にも入ったこともありません。今思い出しても、とてもつらい気持ちになります。私も親元で暮らすことができていれば、勉強させてもらえたのに。そんなチャンスももらえませんでした。両親は、なぜ私を働きに出したのでしょう。

フルキの支援センターにきて、3年になります。センターで初めて鉛筆を持ちました、今まで鉛筆すら持ったことがありませんでした。センターに来れば友達もいます、私には今まで友達もいませんでした。

ここでは勉強を教えてもらい、名前も書けるようになったり、計算もできるようになりました。染め物、刺しゅう、ブロックプリントでの模様付け(木版のはんこ)、そしてミシン研修も受けました。私は手仕事が得意だったので、雇い主がサポートしてくれ、自分でテーラーを始めました。今、私はもう使用人ではありません。勉強をしたら、自分の足で立つことができるんです。

これから子どもを働きにだそうと考えている親がいたら、伝えたいです。
『子どもを働きに出さないで。どんなに生活が大変であっても、子どもと一緒に暮らしてほしい。5年生までは学校に通わせ、ある程度物事の判断ができるようになるまでは親元にいさせてあげて。仕事先では、とてもたくさん辛くて嫌な目にあう。でもそれが何なのか(良いことなのか、悪いことなのかも)わからない。子どもにそんな目に合わせないでほしい。』

 

レジワナさん(仮名)15歳

ダッカに働きにきたのは、8歳の時です。
私がまだ6か月の時、母は私のもとからいなくなりました。父はリキシャ*引きの仕事をしています。

私は3年生まで学校に行きました。勉強を続けて警察官になるのが夢でした。ある日、新しい母が家に来て、私は働きに出されました。そのとき、警察官になるという夢もあきらめました。

働きに出された家には、5年生のお兄さんがいました。彼が家で勉強する姿を見てとても羨ましかったです。私も勉強したかった。勉強がとても楽しいことを知っています、先生や友達とおしゃべりできる楽しさも知っています。でも、もう読み書きは忘れてしまっていました。

家事は8歳の私がすべてやらなければなりませんでした。8歳の少女にそんな責任を負わせるなんて無理なことです。8歳というのは、まだひとりでご飯をきれいに食べられなかったり、服もきちんと着られなかったり、親にいろいろ手伝ってもらいたい年齢です。

すべてのお父さん、お母さんに伝えたいです。
どんなことがあっても、どんなに生活が大変でも、子どもを働きに出さないでください。離婚しないでください。子どもはとてもつらい思いをするのだから。』

*リキシャ:バングラデシュの乗り物。自転車のうしろに座る椅子がついている自転車タクシーで、人々の交通手段となっている。


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