感染者数が減り、ワクチン接種が進むバングラデシュの状況(2月11日時点)
COVID-19の感染者は累計は53万人以上、死者数は約8,200人となっています。11月には新規感染者数が上昇し一日で2,500人となることもあり、冬の第二波が訪れることが懸念されていましたが、実際に12月に入ってからは減少傾向となり、最近では300人~400人となっています。
バングラデシュでもワクチン接種計画が進んでおり、インド政府から500万回分のワクチンが購入され、2月7日から各地での接種が開始されました。医療関係者などフロントラインワーカーが優先されていますが55歳以上であれば接種することができます。接種希望者はオンラインで登録することとなっていますが、実際に登録した人は予想に反して少なかったようです。ワクチンの安全性への不安、COVID-19に対する危機意識の低下などが要因とされているようです。
◆ プロジェクトの状況
感染状況の改善は見られるものの、感染リスクがなくなっている状態ではないため、シャプラニールは常に危機感を持ちながら活動を継続しています。現地職員やパートナー団体スタッフは感染予防対策を厳守し、常に変化する状況に対応しながら活動を進めています。
・家事使用人として働く少女の支援
COVID-19の影響で雇用主が家にいる時間が多くなり、より多くの仕事を少女たちが担っている現状があります。そして実際に「一日のタイムスケジュール通り仕事が進まず困っている」と、報告する少女もいます。支援センターは8月より14歳以上を対象に技術訓練等を実施するために再開し、感染を恐れて少女を外出させることに躊躇している雇用主の元で働く少女にはスタッフが宿題を届けて勉強を継続できるようフォローアップを行っています。
再開を心待ちにしていた少女たちにとって友達や先生との再会は大きな喜びとなっています。しかし、これまで一日の仕事の2時間程度を支援センターで過ごしていた少女にとって、COVID-19 の影響により以前のように気軽にセンターに通えない状況はとても苦しいのです。
支援センターで学んだ裁縫の技術を活かしながら、COVID-19の状況下でも自立して仕事を続けている少女がいます。今回、2019年2月に支援センターを卒業した、タニアさん(仮名、18歳)にお話を聞きました。彼女は地方部の貧しい家庭出身で、5歳の頃からフルタイムで家事使用人として働いていました。学校に通いたくても、親に女の子は教育を受けるべきではないと言われ、8歳になると首都ダッカに働きに出されてしました。まだ幼い彼女にとってはとてもつらい経験で、厳しい雇用主のもとで、重たいカーテンを洗うといった重労働も課せられていました。
2017年からはショバンバーグ地域の支援センターに通い始め、基礎教育の他ブロックプリント(木彫りはんこを使い布に柄をつける技法)や縫製等の技術研修を受けました。今まで教育を受けたことがなかった彼女にとっては新しい知識や技術を身に着ける機会となり、大きく視野が広まったと感じたそうです。
現在は、フルタイムの家事使用人の仕事をやめ、自立した仕立職人として働いています。地域の人々の依頼を受けて、サロワ・カミューズ*(バングラデシュの女性衣装:チュニック、パンツ、ショールで着る)などを仕立てています。前の雇用主の協力を得て、自分で部屋を借り一人暮らしをするようにもなりました。仕事で得た収入は、一部家族に送っていますが、最近は貯金もするようになったそうです。将来は出身の村に戻り、自分のお店を持ちたいと語っていました。
*関連ブログ:バングラデシュ!ファッション入門~サロワ・カミューズ編