バングラデシュ ダッカ市内で行なっている家事使用人として働く少女たちへの支援。バングラデシュ事務所プロジェクトオフィサーマフザ・パルビンさんから現地の様子をお伝えするレポートが届きましたので、紹介します。
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2020年3月からのCOVID-19の感染拡大により、教育機関が約1年半閉鎖されました。それにより、私たちがダッカ市内で運営する支援センターでの活動も制限せざるを得なくなりましたが、活動を止めることはせず、家庭訪問や宿題を届けるなどをして少女たちとの接点を絶やさないようにしてきました。少女たちの詳細な状況を把握するため、2021年11月~12月にかけて、活動地域において聞き取り調査を実施しました。
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ロックダウンや学校の閉鎖によって雇い主の家族がずっと家にいるために、食事の準備回数が増え、感染予防のために掃除の頻度や場所が増えるなど、住み込みで働く少女たちに多くの仕事が課せられていました。そして、勉強をしたり休んだりする時間が削られてしまいました。一方、ダッカ市内のスラムに住み、通いで働く少女たちの家族の多くは、ロックダウンで収入を失い、村に帰らざるを得ない状況になりました。しかし、新たに村から使用人として働きに出された少女たちもいます。学校は再開されましたが、スラムに住む少女のなかで働きながら学校に通っていた8~13歳の少女のうち約66%が退学していることもわかっています。こうして、この感染拡大は、新たな児童労働や児童婚の原因を生み出し、子どもたちをより厳しい状況に追いやることになりました。
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子どもたちの笑顔のために、私たちが社会を変えていかなければなりません。このような支援センターで多くの働く少女たちに勉強や余暇の機会を提供するとともに、社会全体に子どもを雇わないように呼びかける活動を広げていきたいと考えています。
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少女の声
将来の夢は子どもたちを支援するNGOスタッフ
アミラさん(仮名)21歳
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9歳の時から家事使用人として働いています。この家には、通いで働く大人の使用人もいたのですが、COVID-1の感染予防のため解雇し、仕事はすべて私一人がすることになりました。でも給料は上がらず、村に帰りたいと両親に伝えましたが、私が働いて稼ぐお金が必要だから、と許してくれませんでした。ロックダウン中は支援センターも休みとなってしまいましたが、先生が宿題を持って訪ねてきてくれたことがとても嬉しく幸せな時間でした。これからもっと勉強をして子どもたちを支援するNGOのスタッフになりたいです。
報告/バングラデシュ事務所プロジェクトオフィサー
マフザ・パルビン
事業概要
2006年から開始した家事使用人として働く少女への支援活動。基礎教育や技術研修などを通じて自信と将来への目標を持てるような時間と場所を提供し、また雇用主や地域住民に対しても児童労働削減への働きかけを行っている。2022年4月時点では3カ所に62名の少女たちが通ってきている。
会報「南の風」296号掲載(2022年6月発行)