nahar-san.jpg現地パートナーNGO、フルキとともに運営しているセンターに通う、家事使用人として働く少女を紹介したいと思います。彼女の名前はトゥニさん、12歳です。バングラデシュで誰もが知っている歌にトゥニという名前が出てきます。道端で大きな声で自分の名前が歌われているのが嫌で、今はナハールと名乗っています。

ナハールさんは、村で学校に行こうとしましたが、はじめに行った私立の小学校でいじわるをされて、2日で通うのをやめました。次のマドラサ(宗教学校)では、子どもにセクハラをする先生がいて、長く続きませんでした。そのあと、7歳のときに母親に言われて、ダッカで姉と同じように家事使用人として働いています。彼女はこれまで9軒から10軒の家で働いてきました。どの家でも雇い主やその家族から暴力を振るわれ、今の家でも雇い主の息子や娘から理由もなく暴力を受けています。フルキのセンターに来はじめたのは今年の6月からで、彼女は「毎日午後になったら、フルキのセンターに来ています。友だちもいますし、来るのがとっても楽しみです。ここでベンガル語と英語で自分の名前を書けるようになりました」と話します。

母親思いの彼女は「お姉さんと同じようにリキシャ引きと結婚して、自分の子どもには教育を受けさせたいです。もっと大人になったら2つの家で働いて、ひとつの家からもらうお給料はお母さんのために、もうひとつの家からもらうお給料は自分のために使いたいです」と夢を語ります。でも、彼女は家事使用人以外の世界を見たことがなく、家事使用人に代わる仕事や夢を想像できていません。私たちのセンターで、家事使用人ではなく人間として自分で夢を描いていけるお手伝いをしていきたいと思っています。

マフザ・パルビン(ダッカ事務所 アシスタント・プログラム・オフィサー)