福島第一原発から30km圏内の久之浜地区の住民の多くは震災直後から避難生活をしており、小・中学校もいわき市内の他の学校を間借りしていました。長期にわたる除染作業を経て、10月11日にようやく自分たちの学校に戻ることができたのです。

 学校が再開して間もなく、久之浜中学校の教頭先生から電話があり、「ちょっと相談したいことが・・・」除染作業によって校庭などの線量は下がったものの、一部の施設、備品の線量が高く、使用することができないというのです。市の予算も除染作業だけで手いっぱい、震災により経済的にも疲弊した状況の中、保護者に寄付を求めるわけにもいかず・・・ということで、夏休み中のスクールバスの運行支援で縁のできたシャプラニールに相談が来たのでした。

 すぐに様子を見に行くと、テニスコートが使えないテニス部の生徒たちが狭い通路でネットに向かってボールを打つ練習をしていました。「来月大会があるのですが、このままではほとんど練習ができません」と先生が説明してくれました。

 本来行政機関が責任を持つ公立学校の備品の調達までシャプラニールが支援する必要があるのか、安易に頼られるようになっては困る、といった懸念もありましたが、議論の結果、学校側、あるいは行政の方で本当に調達ができないのか等、状況をよく確認した上で協力しようということになりました。

 そして今日、テニスコートの防球ネットを取り付ける工事があるというので、見学に行きました。コートのネットは既に新品に張り替えられており、練習は再開しているとのこと。業者の人が来て、山側にボールが飛んでいくのを防ぐためのネットの取付作業を始めるところでした。

もう一つ、野球部が使用するベースとマウンドの再生も実施する予定ですが、こちらは除染作業で入れ替えた土がまだ落ち着かずフワフワしている状況のため、もう少し時間が経ってから行うことになりそうです。

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コートのネットは既に新しく張り替えてありました。

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除去した土をブルーシートで覆って埋めたため、水がなかなかはけない。

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防球ネットが張られる場所。この裏山の線量が高い。
(いわき事務所 小松)