先日、警戒区域の浪江町からいわき市に避難しているKさんと酒を飲みながら話す機会があった。

Kさんは、原発関連の仕事をしながら、田んぼもやっていた。「そろそろ仕事は引退して、好きな畑仕事をしながら、夫婦でのんびり暮らそうと思っていたところだったのに。」

今、彼は毎朝4時に起きて原発の復旧作業に携わっている。広野のJヴィレッジまでは同僚の車で行き、そこから他の作業員とバスに同乗して1時間。路線バス用の車両を使用しているので座席は少なく、皆立っているか床に座って行くのだという。「いやあ、さすがに疲れるよ、ホント。」

 「自分の家に帰りたいよ。ほんとに帰りたい。とりあえず原発の仕事で食ってるけど、自分がこんな状態になったのは原発のせい。原発なんてほんとは嫌だ。東京のみなさん、どうか節電してください。」

私には返す言葉が見当たらなかった。

 

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<いわき市内の歩道橋から見た夕景>