※大きな地震に備えてカトマンズにおける地震防災キャンペーンをまもなく開始する、という矢先に起きた今回の大地震でした。
この記事は4/25のネパール大地震の前に書かれたものですが、そのまま掲載いたします。
ネパールの首都カトマンズは地震のリスクが非常に高い都市と言われています。というのも約70年~90年に一度大地震が発生すると予測されているからです。しかしながら一方で、直近の大地震は1934年に発生したもので、多くの市民は過去に大地震が発生したことは知っているものの、防災行動等の実践には至っていない状態です。
シャプラニールは現地NGOのNSETと協働し、地震防災啓発キャンペーン事業をこの春から実施します。事業開始を前にカトマンズ盆地内の複数の場所を訪問し、コミュニティ内の防災対策の有無、女性たちの家の間取りや逃げ道を確認すること、聞き取り調査や意見交換会等を行いました。その結果、例えば、人口が密集している地域では、道が狭く逃げ道や逃げ場が少ないこと、あまり女性たちには地震防災の教育が行き届いていないこと、しかし一方で小さな子どもや舅姑の安全を守るのは彼女たちしかいないということなどが明らかになりました。
地震防災への取り組みは、家屋の建築基準の順守や、避難行動訓練、コミュニティの防災対策など様々なアプローチがあります。今回私たちは、女性たちが簡単に取り組みやすい防災行動は何か、ということに焦点を当て、「スラチット・サザオット」という言葉を使うことにしました。これは「安全な家具の配置やインテリア」という意味があります。家庭内ではインテリアや家具の配置は彼女たちの采配で行うことが多いため、女性たちをひきつける防災アプローチを使うことが有効だと感じています。準備段階で実施したワークショップでも「地震は地面が揺れることが恐ろしいのだと思っていたけれど、本当は揺れてから落ちてくるもの、倒れる物がたくさんあるから怖いということがわかった。小さいことでも地震対策になることがわかった」と話してくれた参加者が多くいました。事業期間は1年と短いですが、これを契機に女性たちの地震への意識が高くなり次につながる大きな足掛かりになることを期待しています。
(カトマンズ事務所 プログラムオフィサー スリジャナ・シュレスタ)