昨年のネパール大地震の後、SOUP(Society for Urban Poor)をパートナーとし、主に女性を対象としたメンタルヘルスケア・プログラムを実施してきました。人生で初めて大きな地震を経験し、生活の困難を抱えながら暮らす人々の不安を少しでも和らげたいという趣旨で、一日がかりのワークショップを行っています。全体で15回予定していたのですが、昨年後半から今年にかけて発生した経済封鎖の影響もあって一部実施できていない地域があり、先日最後のプログラムが実施されました。
この日は首都カトマンズ郊外のキルティプール市、サガル地区の女性グループが対象です。男性数人を含む26人が参加しました。事務局長のグジェシェリさんをはじめSOUPのメンバーがファシリテーターとなり、参加した女性たちの母語であるネワール語で優しく語りかけます。「毎日朝起きてから寝るまで、いろんな場面で緊張や不安を感じることがありますよね?まずは自分で自分の気持ちをコントロールすることから始めましょう」また、地震直後は主に地震に対する恐怖を和らげることに重点を置いていたのですが、1年半が経過した今回はそれ以外にも、女性たちが自信を持って日々の暮らしを送ることができるよう、グループ活動の重要性などについても話し合いました。
<参加者の声>
ヒラケシャリ・マハルジャンさん
彼女が住んでいた家は地震で全壊したため、仮設の小屋で家族と避難生活を続けています。一年以上経過した今も、経済的な困難から自宅の再建は出来ていません。これまで何とかしのいできたものの、鉄板で覆われただけの家は夏暑く、雨期には雨が入ってくるなど、非常に厳しい環境です。これから寒い冬を迎えるにあたり、果たしてこの仮設小屋で冬を越せるのか、不安を感じています。
今回のプログラムをとても楽しみにしていた彼女は、「ストレスを和らげる方法やグループ活動のコツなど、今の辛い状況の中で活かせることをたくさん学ぶことができ幸せです」と語ってくれました。
小松豊明 (シャプラニール事務局長)