2015年4月25日、ネパールで甚大な被害をもたらした大地震が発生してから早くも3年が経過しました。
シャプラニールでは、カトマンズ盆地内住宅密集地の復旧と復興支援事業を実施し、カトマンズ地域の防災力強化に取り組んでいます。
先日カトマンズの各地区で、大地震の記憶を風化させないため、そして次の地震に備えるための「被災体験共有会」を実施しました。住民が共有したそれぞれの被災体験の一部をご紹介いたします。
ラクシュミ・ショヴァ・マハルジャンさん(38歳)はカトマンズ市21区のソーシャル・モビライザーとして勤務していました。地震が発生した時、彼女は昼食の用意をしていたそうです。揺れを感じ、夫と子どもたちを連れて自宅から避難しましたが、彼女の姉妹2人が自宅のテラスに取り残されてしまいました。2人は目の前でダラハラ(※1)が崩壊するのを目撃し、とても恐ろしい思いをしました。
ラクシュミさんが自宅を出た後に目の前で道路横の壁が崩れ落ち、その場にいた4人が命を落としました。彼女は恐ろしくなり、自宅も崩壊し残された家族が助からないのでは、両親も無事だろうかととても心配になりました。家族の安否を確認して初めて彼女は落ち着きを取り戻すことができたそうです。家族は無事でしたが、ペットの犬が足を負傷しました。
余震が続き、ラクシュミさんと家族は、1週間以上自宅の外に避難せざるを得ませんでした。外の空き地で過ごさなければならず、彼女はずっと落ち着かない気持ちだったそうですが、近所の人々とお互い助け合い、避難生活を共に過ごしました。
ラクシュミさんは今でも地震が恐ろしく、前回の地震が起きた時に目の前で亡くなった4人のことを忘れられません。彼女は当時非常用持ち出し袋の用意ができませんでしたが、今は将来のためきちんと準備しているそうです。自宅周辺の安全な場所も確認し、彼女は周囲の人にも同じように次の地震に備えるよう勧めています。
※1 カトマンズ市内にあった、ネパール国内でいちばん高い塔。2015年のネパール大地震で倒壊した。
復興が続くネパールですが、このような防災・減災への取り組みは、次なる地震に備えるためにも地域住民をつなぐ架け橋としても重要です。
引き続き、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いします。