カトマンズ郡の北東に位置するシンドゥーパルチョウク郡は今回のネパール地震で最も大きな被害を受けた郡の一つです。数多くの支援団体が支援に入り、食糧支援、医療支援、衛生環境の整備支援に入っています。
平時は運動場などとして使われる広場には各支援団体が医療テント、入院用テント、
子どもの心のケアプログラム用テントが張られ活動していました。
この度のネパール地震では、情報へアクセスするのが非常に困難だったという報告や聞き取りがありました。一方で大きく被災した地域では地域のコミュニティラジオが被災してしまい、ラジオを放送できない状態になってしまったラジオ局が多くあるということを世界的なコミュニティラジオ協会であるAMARCの地域コーディネーターからも話を伺いしました。
余震が未だに続く状態の中で、また復興に向けて地域の人々に様々な情報を提供できる環境を整えることとても大切なことだと思います。
調査のためシンドゥーパルチョウク郡チョウタラにある「ラジオ・シンドゥー」というラジオ局を訪問しました。
被災してから放送を立て直すまでの出来事を
話してくれた責任者のラトナさん
このラジオ・シンドゥーはラジオ局として使用していた建物が被災し、地震発生直後はラジオ放送ができる状態ではありませんでした。しかしながら一方で、道路が寸断された状況下で、重傷患者が出ており、病院へ搬送するためにはヘリコプターでの救出が唯一の方法でした。ヘリコプター派遣要請をするための電話等も寸断されていたため、地域の人々からはラジオからヘリコプター出動要請を放送してほしいといった住民からの悲痛な要望が数多くあったそうです。
ラジオ・シンドゥーはとにかく地域の人々の要望に応えること、支援が必要であることを呼びかけるために最低限のラジオが放送できる状態を整え、簡易テントをラジオ局として放送を再開させました。
多くが20代のスタッフ。
スタッフ自身も避難生活を続けながら、
放送を続ける姿に逞しさを感じました。
シンドゥーパルチョウク郡は重度に被災した地域であるため、多くの支援団体が入って食糧配布等を行っています。地震発生から1カ月以上たち、少しずつ生活が落ち着きつつある状況下で地域の人々の声を聞いていると、過度に支援に期待したり、依存している様子や雰囲気が多少感じられるとのことでした。ラジオ局責任者のラトナさんは「しっかりと自分の足で立って、復興に立ち向かう人々の姿をラジオを通じて伝えたい。それが自立した生活再建を促すためのラジオの仕事だと思う。」と話してくれました。
地域に根ざした情報発信基地としてのコミュニティラジオは、復興や再び発生するかもしれない大きな地震に備えて情報拡散手段として地域にとって非常に重要です。シャプラニールはこのようなコミュニティラジオ再建のサポートも行っていきたいと考えています。
テントの中でラジオ放送をするスタッフ
ネパール事務所長 宮原麻季