2020年11月より開始した、気候変動の影響を大きく受けているバングラデシュ南部クルナ県での青少年グループをチェンジメーカーとした気候変動対応事業。プロジェクトオフィサーのプラント・ビシュワスさんからの報告をご紹介します。
バングラデシュは各地で気候変動による深刻な影響を受けており、国内で3番目に大きな都市であるクルナ市は、無計画な都市化、環境に対する意識の欠如による深刻な環境悪化に直面しています。これらの問題に対処するために、市内の青少年を対象に気候変動への適応と持続可能な消費について学ぶ事業を行っています。
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持続可能な生活スタイルの実践に向けた自作のポスターを掲げる地域の青少年たち。左:エコバッグの使用を推奨するポスター / 右:「水は賢く使いましょう」と呼びかけるポスター
青少年は事業での学びや行動変容を地域社会に波及させる役割もになっています。1年目は市内の合計11区で青少年グループを結成し165人が参加する連続講座を実施しました。グループごとに、気候変動とその影響、自分たちの生活とどう結びついているのかを学び、その後、持続可能な生活スタイルの実践に向けて、自分の普段の暮らしの中で、どのような習慣や行動が、どのような環境負荷を与えているのかを調べました。
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キャンペーンを主導した青少年グループ
例えば、あるメンバーの家では、月に100枚もビニール袋を使っていることが分かり、代わりにマイバッグを使うようにします。そしてこのような行動変化を、家族や友人、周辺の人たちにも働きかけ、実践する仲間を増やしていきます。さらに、一緒に勉強をしたメンバーの意見を取り入れながら「持続可能な消費のための生活スタイル」について、より楽しみながら学んでもらうためのボードゲームの開発、ポスターの制作なども行いました。出来上がったゲームやポスターは、今後市内の学校で使ってもらう予定です。
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「持続可能な消費のための生活スタイル」を学べるボードゲームで遊んでいる様子
今後はクルナ市内の他の区でも、青少年を通じた環境への意識を広げる活動を行っていきます。
【若者の声】
スルタナ・アフロズ・オピさん 16歳
「私たちの行動が社会を変える」
私はこの事業に参加して、新たなことを学ぶ楽しさを知りました。私たちの暮らしはいかに過剰消費をしているのか、それが環境にどのように影響を与えているのか、天然資源には限りがあるということを知りました。私は学んだことを実生活で実践し、家族や友人、近所の人にも伝えています。私たち子どもや若者が積極的に行動することで、自分たちの地域や社会に変化をもたらす大きな役割を果たすことができると信じています。
プロジェクトオフィサー:プラント・ビシュワス
会報「南の風」294号掲載(2021年12月発行)
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>>実施事業について 『青少年グループをチェンジメーカーとした気候変動対応事業』
気候変動の影響を大きく受けているバングラデシュ南部クルナ県において、青少年を対象に持続可能な消費について学ぶ連続講座を開催する。講座内容は市役所や大学等の協力も得ながら作成し、その後、持続可能な生活スタイルを自分たちの暮らしの中で実践し、周辺の人たちに伝えていく取り組み。本事業は三菱商事株式会社国際貢献事業の支援により2020年11月に開始。