支援概要
ストリートチルドレンの安心と身の安全を守るために
バングラデシュの首都ダッカには親元を離れ路上で生活するストリートチルドレンが33万人以上いるといわれています。単に貧しい生活から逃れるためだけでなく、両親の離婚や暴力など家庭内の問題が原因で故郷の村を離れ、心の傷をかかえたままダッカの路上で生活するようになったケースが少なくありません。
ストリートチルドレンは、小商い、荷運び、靴磨き、ごみ拾い、さらには売春などによって現金収入を得て生活していますが、子どもであるため不当に低い賃金で長時間労働させられる傾向があります。 またストリートチルドレンは路上で生活しているため、所持していた現金を夜眠っている間に盗まれたり、不衛生な環境のために病気になったりするなど、その生活は絶えず危険にさらされています。加えて学校に通っていないケースがほとんどなので教育の問題も深刻です。
活動内容とその成果
シャプラニールは、現地のNGO「オポロジェヨ・バングラデシュ」と協力して、ストリートチルドレン支援を2000年度から2010年度まで行いました。主に、子どもたちが適切な教育や基礎医療、職業訓練を受け、安心して生活できる環境を得るためにストリートスクールと(青空学級)とドロップイン・センター(24時間対応可能な施設)を運営しました。
この活動は、地域住民の参加を意識し、将来はその地域の人たちで活動を行いました。この間、何らかの形で私たちが支援してきたストリートチルドレンの数はのべ 6,000人以上、家族の元へ返すことができた子どもも80人を超えました。それは、ただ路上で暮らし、働く子どもたちを保護するというだけでなく「地域への働きかけ」「子どもの参加」に力を注いできました。
当初からゆくゆくは地域に活動を手渡すことを目指して住民との信頼関係を築いてきましたが、2008年度から本格的に地域の人々の寄付で活動にかかる費用を賄う試みが始まりました。2008年7月に地域の協力者を招いた集会には、地域の行政リーダー、商店主、教師、主婦、バスターミナルで働く人など、長年この活動を見守ってきた人々約70人が集まり、「これからは資金面でも協力してほしい」という私たちの話を真剣に聞いてくれました。
その後、人々はそれぞれのやり方で動き始め、野菜市場の人は野菜を、米市場の人は米を、文房具店の人は文房具を、学校では募金を、といった形で協力してくれています。その結果、2010年度はすでにシャプラニールから送金する費用はパートナー団体スタッフの人件費のみ、となりました。
ダッカなど大都市ではユニセフの出資で行政によるストリートチルドレン支援活動も始まり、一切こういった支援がなかった10年前を考えると隔世の感があります。パートナー団体のオポロジェヨ・バングラデシュも一緒に活動を始めた頃に比べると大規模な団体になりました。
バングラデシュ全体のストリートチルドレンの状況は解決にはまだほど遠い状況ではありますが、この地域でのこの活動はオポロジェヨ・バングラデシュと地域の人々にお任せし、シャプラニールは少し離れて見守りながら、しばらくは家事使用人として働く少女の支援活動と農村部での活動に注力したいと思います。オポロジェヨ・バングラデシュへの資金提供はなくなっても、時々様子を見に行ったり、意見交換をしたりするような付き合いは続けていきます。(2010年度年次報告書 P20 より)
パートナー団体紹介
団体名 | Aparajeyo-Bangladesh(オポロジェヨ・バングラデシュ) |
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地域 | ダッカ市内南東部、サエダバッド、ジャットラバリ地区 |
活動期間 | 2000年度~2011年3月 |
団体概要 | TDH(Terre des homes /テレ・デ・ゾム)財団ローザンヌ(スイス)が、バングラデシュの首都ダッカ市内のスラムで行っていた活動をそのまま引き継ぐ形で、1996 年に独立してできた現地NGO。子どもの人権を擁護するためのさまざまな取り組みを広く行っており、特にストリートチルドレン*への支援ではバングラデシュで随一の組織として定評がある。国際機関、バングラデシュ政府ともさまざまな連携事業を展開しており、年間予算規模は1億5,600 万円(当時)、スタッフ総数は565人(当時)と、確固たる組織基盤をもっている。シャプラニールとは2010年度まで現地パートナー団体として活動を行った。 |
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